ずいぶん前から仲良くさせていただいてる写真家 井上佐由紀さんの展覧会(写真展ともまた違う趣きの展示)に出かけてきました。
6年前、東京都写真美術館の「至近距離の宇宙/日本の新進作家 vol.16」(2019年11月30日(土)~2020年1月26日(日))で発表された〈私は初めてみた光を覚えていない〉のテーマをさらに深掘りした内容になっていました。
〈私は初めてみた光を覚えていない〉では、赤ちゃんが生まれて目を開いた瞬間をあつかっていましたが、今回は「おそれ(恐れ/畏れ/怖れ)」がテーマ。生と死の世界への「おそれ」から、赤という「色」に焦点を当てた展示となっています。
会場は半蔵門にある東條會館写真研究所。築100年を超える歴史的建造物の地下1階→6階→5階に展示されています。古くて暗い建物をそろりそろりと歩いてゆくさまは、探検というかお化け屋敷を進んでいく感じですが、そこは佐由紀さん、次から次へと驚きの作品が姿を現します。




赤い花、ということで彼岸花の写真がたくさん登場しますが、合わせ鏡をつかった効果で、花が左右にどこまでも続いていくようにみえます。これは人生が知らないうちに始まって、(たぶん)知らないうちに終わっていく様子をたとえているそうです。
最後にこっそり展示されている「色の部屋」がなかなかよかった。ひとくちに「赤」といってもいろいろな「赤」があって、また、同じものを見ていても見る人によってぜんぜん違う色が見えているのかもしれない、ということを教えてくれます。
会期は残すところ、12月19日(金)、20日(土)、21日(日)のみとなってしまいましたが、ご興味ある方はぜひこの三日間に滑り込んでください!
●井上佐由紀「はじまりと終わりに見る色を、私は知らない」
会 期:2025年10月31日(金)〜12月21日(金・土・日・祝のみ開館)
時 間:13:00〜19:00
会 場:東條会館写真研究所(東京都千代田区麹町1-6-12)※入場無料

