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走れ!バカップル列車 第23号 銚子電鉄と芝山鉄道8・6キロ |
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三 千葉行きの総武本線普通電車は13時38分発で接続は良い。 右に下総台地、左に田んぼを見ながら走る。だんだん眠くなってきて、みつこさんと私と二人とも熟睡してしまう。 気がつけば成東で、ここで東金線に乗り換え。 すずきのとうちゃん、みつこママとの待ち合わせは東金駅だが、東金線の全線に乗りたいので、いったん東金を素通りして大網まで行き、再び戻ってくる。 二度目の東金駅には15時20分に着いた。 とうちゃんとみつこママが駅前で出迎えてくれた。 「おひさしぶりですぅ!」 「元気だったぁ?」 白い大きなワゴン車に乗って、きょうの宿に向かう。 「海沿いの国民宿舎なんだけどさァ、けっこういいとこだよォ」 とうちゃんの威勢のいい声が車内に響く。とうちゃんは大工の仕事をしているとあって、カラダもでかければ声もでかい。その話しぶりはややもするとやーさんと間違われそうな雰囲気だが、メガネの奥の瞳はとっても透き通っている。 みつこママは東京都内の生まれ。若くしてこちらに嫁いだという。江戸っ子らしく気っ風が良く、面倒見のいいおかみさんである。 ワゴン車は東金からの道を九十九里の方向へ走っている。 宿は「サンライズ九十九里」という名前で、まさに九十九里の砂浜に面している。建物は「国民宿舎」というフレーズからはとても想像つかない現代的な設計で、バームクーヘンを半分に割ったような形のコンクリートの物体が宙に浮いているような物体であった。 とうちゃんとみつこママとみつこさんと私の四人でイワシづくしの晩餐を楽しみ、その日の夜は更けた。 九十九里の夜明けは早かった。 「サンライズ九十九里」という名前からして、日の出がさぞ美しいのだろうと早めに起きるつもりだったが、起きたらすっかり明るくなっていた。 四月二十二日、朝。眠い目をこすって展望風呂に入ったあと、散歩に出た。 二人で朝の九十九里浜を歩く。 空は雲で覆われている。風が強い。砂浜に立っていると飛ばされてしまいそうである。足もとには砂の混じった風が渦を巻きながら走り抜けてゆく。風が治まると浜辺には波紋が出来上がっていた。 波は高く、白波が幾重にもなって砂浜に押し寄せている。うみねこが群れていて波が来るたびにいっせいに羽ばたいては波が引くとまた濡れた砂浜に降りてくる。 もう一度風呂に入り、軽く朝ごはんを食べてからチェックアウト。 すずきのとうちゃんとみつこママが宿のロビーに迎えに来てくれていた。 白いワゴン車のドアを開けると、車内にはものすごいイチゴの香りが漂っている。見ると、ふつうのイチゴパックが四パック入る箱が二箱ある。イチゴはどれも粒が大きい。 「どうしたんですか、これ?」 「けさ、もいだばかりのイチゴよう」 みつこママが言う。 「知り合いの農園でつくってるのよ。ものすごくおいしいんだから。これ食べちゃうと他のいちご食べられなくなるわよ。一時期、新宿の高野にも出してたことあるんだから」 早速いただいてみる。 (うまい!) なんとも瑞々しいイチゴ。甘いけど、ちょっぴりすっぱい。 もぎたてだからか、まだ荒々しさというか、ほとばしるエネルギーが、おおきなイチゴの粒にこもっている。 ワゴン車は九十九里浜に面した道を走り始めている。 とうちゃんが言う。 「朝ごはんはあまり食わないでおいたか?」 「おなか空いたんで、軽く食べちゃいました」 「食ったのかぁ。とにかくよぉ、昼めしはものすげえぞ!」 そう言われてたどり着いた昼ごはんの店は、九十九里町にあって海の家が陸にあがって来たような掘っ立て小屋だった。 看板には『いわし料理 ばんや』とある。 とうちゃんとみつこママがいろいろ見繕って注文してくれたのだが、出てくる料理どれもみんなサイズがどでかい。 見たことないくらいでかいはまぐり。じゅうじゅう焼いて三個も食べればこれだけで腹がふくれる。さしみ盛り合わせはかつおがどどんとのってる大盛り。にんにくを乗っけて食べるのが死ぬほどうまい。 なめろうを突っついて、つみれ汁をすすって、もうおなかいっぱいと思っていたところへ洗面器サイズの天丼がやってきた。海老一匹が伊勢エビかと思うほどの大きさである。そんな天ぷらが洗面器からはみ出る勢いで乗っかっている。 みつこさんは「おいしい、おいしい」と言って食べている。私も負けずに「うまい、うまい」と食い続ける。 「二人とも食いっぷりがいいねえ」 とうちゃんが妙なことに感心している。 そうは言っても、こっちはもう倒れるくらいおなかがいっぱいである。クルマの中でイチゴを一箱食べてしまったのがとても悔やまれる。 とりあえず、みなさんには迷惑をかけずに店を出ることができた。 店は出たが帰るにはまだ早い。とうちゃんの運転するワゴン車は当て処もなく走り出す。 「電車が好きって言ってたなあ」 とうちゃんが私に話しかける。 「好きですよぉ」 「なんか、成田の、空港の辺りに新しく出来たの、乗ったことある?」 「芝山鉄道ですよね?……ないです」 これもまた鉄道おたく失格である。 「じゃあ、それ乗ってみっか」 「ええ!?」 |
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